ご挨拶

Prof. Tatsuo Kuroda

このたび伝統ある日本周産期新生児医学会の第56回学術集会会長を拝命し、大変光栄に存じ、また大きな責任を感じております。2020年は当初、東京オリンピック・パラリンピックや、田中守教授を会長としたFederation of Asia and Oceania Perinatal Societies (FAOPS) と本学会との共同開催が予定されており、本学会の会期を11月末にしておりました。ところが世界中で新型コロナウィルスの感染拡大により、本年5月時点で11月末においても学会場における通常形式の学会開催は困難と判断され、理事会においても協議のうえ、第56回学術集会を完全Web開催とすることが決まりました。このため本学会は一般演題を除いた、海外招請講演、教育講演、ワークショップ、など限られたセッションによる学術集会として開催させていただくことになりました。一般演題の報告による活発な議論がない学術集会となり誠に残念ではありますが、どこに居てもアクセスできるWeb開催の利点を活かして、興味あるテーマを国内外の専門家に論じていただいてできるだけ盛り上げたいと考え、各方面のお力添えでここまで準備を進めてまいりました。初めての試みで、至らぬところは多いかと思いますが、是非、皆様にはこの新しい形式での学術集会をお楽しみいただきたいと思います。

第56回学術集会はC領域の小児外科でお世話させていただく年に当たっており、当初の企画通り「出生前診断と治療」をメインテーマとしております。私自身は大学へ異動するまで長く国立成育医療研究センターの外科で臨床をしてきて、出生前医療の光と影の存在を強く感じてまいりました。これは近年の関連諸技術の進歩にもかかわらず、出生前の疾患の経過や病態、予後予測に関する知見が未だに乏しいことに起因していると思います。出生前医療の遂行には周産期に関する多診療科の連携が必須であり、開きかけた出生前医療の扉をさらに大きく開いてゆくために、産科、新生児科、小児外科を中心とした小児の外科系診療科など広い領域の知見を集積・共有してゆく必要があると思います。海外からの招待者も含めた講演で、是非とも幅広い分野の最新知見の情報共有ができることを期待しております。出生前医療のみならず、周産期医療のあらゆる側面の問題について、基礎医学から臨床、専門医の育成まで多くの知見や情報をできるだけ集めてご講演をいただいておりますので、皆様に実りの多い学術集会としていただければ、主催者として望外の喜びです。

第56回日本周産期新生児医学会 会長
慶應義塾大学 小児外科

黒田 達夫